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外リンパ瘻[私の治療]

No.4995 (2020年01月18日発行) P.46

小林一女 (昭和大学医学部耳鼻咽喉科学講座教授)

登録日: 2020-01-18

最終更新日: 2020-01-15

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  • 外リンパ瘻は内耳外リンパ腔と周辺臓器の間に瘻孔が生じ,内耳の生理機能が障害されて,めまい,耳鳴,難聴などが生じる疾患である。原因・誘因から4つのカテゴリーに分類される。カテゴリー1は外傷,疾患,手術,2は外因性の圧外傷,3は内因性の圧外傷,4は誘因がはっきりしないidiopathicである1)

    ▶診断のポイント

    カテゴリー1~4に分類された原因・誘因があり,難聴,耳鳴,耳閉塞感,めまい,平衡障害,の臨床症状がある。臨床症状に瘻孔の確認または外リンパ特異的蛋白(cochlin-tomoprotein:CTP)検査陽性であれば確実例とする。臨床症状のみの場合は疑い例とする。CTPの検査結果が出るまでには数週間かかる。

    ▶私の治療方針・処方の組み立て方

    【カテゴリー1】

    原因に応じた治療を行う。真珠腫性中耳炎による半規管瘻孔,手術による医源性外リンパ瘻などは術中に筋膜,結合織,フィブリン糊などで瘻孔を閉鎖する。耳かきによるアブミ骨の直達外傷,側頭骨骨折などの外傷が原因の場合,画像上明らかなアブミ骨の偏位,耳小骨の脱臼があれば,早期に内耳窓閉鎖術を行う。耳小骨の脱臼,偏位が明らかでない場合,絶対安静にして保存的加療を1~2週間程度行う。難聴が悪化する,変動する,めまいが持続する場合,内耳窓閉鎖術を考慮する。CTP検査を行っておく。

    【カテゴリー2~4】

    瘻孔が自然閉鎖することもあるので,1週間程度絶対安静による経過観察,保存的加療を行う。難聴が悪化する,変動する,めまいが持続する場合,内耳窓閉鎖術を考慮する。特に聴力が悪化する場合,難聴は早期に手術しないと改善に乏しいため,臨床症状,聴覚検査所見から手術時期を逃さないことが大切である。前庭症状は時期が遅れても改善可能である。CTP検査を行っておく。

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