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脊椎手術におけるナビゲーションの現状について

No.4995 (2020年01月18日発行) P.54

松本守雄 (慶應義塾大学医学部整形外科学教室教授)

石井 賢 (国際医療福祉大学医学部整形外科教授/三田病院脊椎脊髄センターセンター長)

登録日: 2020-01-20

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  • 脊椎手術におけるナビゲーションの現状について,ご教示下さい。
    国際医療福祉大学・石井 賢先生にご解説をお願いします。

    【質問者】

    松本守雄 慶應義塾大学医学部整形外科学教室教授


    【回答】

    【ナビゲーション技術,VR・MR技術の目覚ましい進歩】

    20世紀の三大革命と言えば,①抗菌薬の発見,②麻酔法の確立,③内視鏡です。内視鏡はすなわち低侵襲治療に言い換えられます。今日の脊椎外科領域でも内視鏡手術を含む様々な低侵襲治療が普及し,特に超高齢社会を迎えたわが国において,国民に多大な恩恵をもたらしていることに異論はありません。近年では,低侵襲手技の普及により治療が多様化し,各手術の難易度は高く,手技の習得や術中の精神的ストレスなどの外科医の負担は益々増加傾向にあります。

    一方,医療分野の外に目を向けるとあらゆる分野におけるテクノロジーの進歩は凄まじく,顔認証,スマートフォンの普及,情報共有の簡易化など様々です。1981年,革新的な技術である世界初のカーナビゲーション(カーナビ)がわが国で開発されました。この技術は間もなく医療現場に応用されることになります。これがCTナビゲーション(CTナビ)であり,わが国ではメドトロニック社のO-armを用いたナビゲーションが普及しつつあります。本技術はまさにカーナビを応用したものであり,外科医の負担を軽減するに十分な医療機器であると同時に,より安全でより精度の高い手術を提供できる21世紀の低侵襲手術の課題のひとつを克服できる技術かもしれません。

    衛星がナビゲーション赤外線センサー,地図が患者の身体,車が各種手術器具に相当し,まさに小さな宇宙空間です。近年では,車に対応する手術器具のラインナップが増え,頸椎用のインストゥルメントやエアードリルなどが導入され,高い精度の獲得と適応疾患の拡大が実現しています。現段階でCTナビが特に威力を発揮できる手技は,脊柱変形に対する椎弓根スクリュー設置,骨盤アンカーの設置,骨腫瘍切除(的確な切除縁の確保),後縦靱帯骨化症の前方浮上術などでしょう。

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