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肝硬変の腹水治療について

No.4994 (2020年01月11日発行) P.50

澤田康司 (旭川医科大学内科学講座消化器・血液腫瘍制御内科学分野講師)

登録日: 2020-01-08

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  • 肝硬変の腹水治療についてご教示下さい。旭川医科大学・澤田康司先生にご解説をお願いします。

    【質問者】

    小川浩司 北海道大学大学院医学研究院 内科学講座消化器内科学教室


    【回答】

    【腹水の薬物治療はトルバプタンの早期導入が推奨されている】

    肝硬変の腹水に対する薬物治療は「肝硬変診療ガイドライン2015(改訂第2版)」1)において,少~中等量の腹水ではスピロノラクトン(25~100mg/日)を第一選択とし,効果不十分な時はフロセミド(20~80mg/日)を併用するとされています。この治療に不応である場合や,大量腹水の際は入院の上,塩分の摂取制限(5~7g/日)とスピロノラクトンやフロセミドに加えてトルバプタン(3.75~7.5mg/日)の追加,カンレノ酸カリウムやフロセミドの静注が行われます。しかし,スピロノラクトンおよびフロセミドは腎機能を悪化させる可能性や2),フロセミドの投与量が多い症例においては,トルバプタンの効果が減弱する可能性が報告されています3)。また,非代償性肝硬変症例は腎機能障害を起こしやすく,急性腎障害の合併は予後不良因子であることが知られていることから4),近年はスピロノラクトンおよびフロセミドを増量する前の段階でトルバプタンを併用する早期導入と腎機能保護の考え方が浸透してきています。

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