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強皮症に間質性肺炎と肺高血圧症を伴う症例の治療選択は?

No.4990 (2019年12月14日発行) P.59

吉藤 元 (京都大学大学院医学研究科内科学講座臨床免疫学講師)

加藤 将 (北海道大学病院内科Ⅱ)

登録日: 2019-12-12

最終更新日: 2019-12-10

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  • 強皮症に間質性肺炎と肺高血圧症(pulmonary hypertension:PH)の両者を伴う症例に対する肺血管拡張薬の適応基準ならびに,適応がある場合の単剤または多剤併用療法の選択についてご教示下さい。
    北海道大学・加藤 将先生にご回答をお願いします。

    【質問者】

    吉藤 元 京都大学大学院医学研究科内科学講座臨床免疫学講師


    【回答】

    【FVCまたはTLCが60%以上の場合,間質性肺炎の有無にかかわらず肺血管拡張薬を使用】

    強皮症に伴う肺動脈性肺高血圧症(pulmonary arterial hypertension associated with systemic sclerosis:SSc-PAH)はPHの中でもとりわけ予後不良であることが複数のコホート研究により示されています。その原因のひとつとして間質性肺炎の合併が挙げられます。

    間質性肺炎そのものにもPHが伴うため(PH due to lung diseases/Group 3 PH),SSc患者にPHと間質性肺炎の両者が認められた場合には,PHの原因がPAH(Group 1 PH)なのかGroup 3 PHなのかを見きわめる必要があります。なぜなら,Group 1 PHにはエンドセリン受容体拮抗薬やホスホジエステラーゼ5阻害薬などの肺血管拡張薬,とりわけ両者の併用療法(upfront combination therapy)1)が適応となるのに対し,Group 3 PHにはこれらの治療は基本的に禁忌だからです。

    しかし,多くのSSc患者においてはGroup 1 PHとGroup 3 PHとが混在していると考えられ,そのため筆者らはGroup 1 dominant PH,Group 3 dominant PHというように分類するほうが適切だと考えています2)

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