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食物アレルギー[私の治療]

No.4988 (2019年11月30日発行) P.49

西本 創 (さいたま市民医療センター小児科部長)

登録日: 2019-11-27

最終更新日: 2019-11-26

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  • 食物アレルギーとは,「食物によって引き起こされる抗原特異的な免疫学的機序を介して生体にとって不利益な症状が惹起される現象」として定義されている。その機序により,大きくIgE依存性反応と非IgE依存性反応にわけられる。
    ここでは,IgE依存性の即時型症状を呈するものに限定して解説する。

    ▶診断のポイント

    抗原曝露によりアレルギーが生じる状態になることを「感作」と呼び,特にIgE依存性の場合には抗原特異的IgE抗体が産生され,マスト細胞上の受容体に結合することが感作の重要な機序になる。皮膚テストや特異的IgE測定はこの「感作」をみているにすぎず,「発症」と明確に区別して考える必要がある。

    食物アレルギーの診断は,①抗原特異性,すなわち,特定の食物摂取により症状が誘発されること,②特異的IgE抗体など免疫学的機序を介すること,を証明することにより確定する。そのためには詳細な問診を行うことが欠かせない。

    発症年齢や摂取した食物の詳細な調査・確認,摂取してから症状発現までの時間から食物不耐症や他の食物アレルギー病型の鑑別診断を行う。即時型のアレルギー反応が疑われ,被疑食物が絞り込まれたら,皮膚テスト,特異的IgE抗体測定を行うことにより免疫学的機序の関与を確認する。これらの検査は特異度が低く,問題なく摂取できる場合でも陽性になるため,不用意に提出すると混乱をまねく。検査が陽性であっても症状なく摂取できている場合には,不要な除去を指導すべきではない。摂取した状況と検査結果から原因抗原が明らかな場合には,必ずしも食物経口負荷試験を行う必要はない。

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