株式会社日本医事新報社 株式会社日本医事新報社

CLOSE

ギッテルマン(Gitelman)症候群[私の治療]

No.4984 (2019年11月02日発行) P.37

野津寛大 (神戸大学大学院医学研究科内科系講座小児科学分野特命教授)

飯島一誠 (神戸大学大学院医学研究科内科系講座小児科学分野教授)

登録日: 2019-11-05

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
    • 1
    • 2
  • next
  • Gitelman症候群(Gitelman syndrome:GS)はBartter症候群(Bartter syndrome:BS)と同様に低カリウム血症,代謝性アルカローシスなどを特徴とする先天性尿細管機能異常症に伴う症候群である(OMIM1型:263800)。遠位尿細管に発現する輸送体機能異常で発症する。GSは,臨床的には学童期以降に発症し,比較的軽症の臨床像を呈するとされてきたが,実際には倦怠感,活動量の低下,筋力の低下,筋痙攣,多飲多尿,夜間頻尿などの,様々な症状によるQOLの低下を認める。
    近年はGSおよびBSを1つの疾患概念ととらえ,遺伝性塩類喪失性尿細管機能異常症(salt-losing tubulopathy:SLT)と総称する傾向にある。

    ▶診断のポイント

    GSは,低カリウム血症,代謝性アルカローシスを呈し,かつ,利尿薬,緩下薬の常用,食思不振など,二次的要因を伴わないことにより診断を行う。倦怠感やテタニー症状に伴い診断されたり,低身長の精査の際に診断されることも多いが,ほとんどの場合は偶然の血液検査で低カリウム血症を認め診断される。以下に示す様々な二次的要因により類似の病態を呈するため,確定診断には遺伝子診断が必須である。

    【鑑別を要する,そのほかの二次的要因】

    食思不振,緩下薬の常用,利尿薬の常用,グリチルリチンの常用,アルコール中毒,サウナ中毒,嘔吐癖,慢性下痢,妊娠悪阻など。

    ▶私の治療方針・処方の組み立て方

    低カリウム血症に対するカリウムの補充が基本である。さらに,低マグネシウム血症を伴う場合はマグネシウムの補充を行う。電解質異常の補正が困難な場合や,日常生活に支障をきたすような倦怠感,活動量の低下などを認める場合は非ステロイド性抗炎症薬(non-steroidal anti-inflammatory drugs:NSAIDs)による治療を行う。

    残り1,048文字あります

    会員登録頂くことで利用範囲が広がります。 » 会員登録する

    • 1
    • 2
  • next
  • 関連記事・論文

    もっと見る

    関連書籍

    もっと見る

    関連求人情報

    関連物件情報

    もっと見る

    page top