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ロタウイルス感染症[私の治療]

No.4984 (2019年11月02日発行) P.43

新庄正宜 (慶應義塾大学医学部小児科専任講師)

登録日: 2019-11-01

最終更新日: 2019-11-01

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  • ロタウイルス(二本鎖RNAウイルス)による感染症で,胃腸炎の主因である。主にA型ロタウイルスによる。痙攣や脳症・腎不全・菌血症など,腸管外合併症も報告されている。乳児早期に投与する経口生ワクチンは,乳幼児期の感染症の重症化を防ぐ。

    ▶診断のポイント

    嘔吐,下痢,発熱を呈し,潜伏期間は1〜2日,罹病期間は4~7日である。ノロウイルスよりも下痢,発熱を呈しやすい。群発しやすい痙攣(胃腸炎関連痙攣)を呈することもある。

    A型ロタウイルスを便から検出する迅速抗原検査が一般的である。経口生ワクチン投与後でも陽性となりうる。なお,半数以上の症例で,RNAが血中から検出される。

    ▶私の治療方針・処方の組み立て方

    【胃腸炎】

    ロタウイルス感染症に特異的な治療はない。嘔吐,下痢,発熱に対する対症療法を行う。具体的には,経口補水,制吐薬,整腸薬,解熱薬の投与を,脱水あるいは経口摂取がきわめて不良な場合には経静脈的な補液を検討する。

    ナウゼリン®(ドンペリドン)などの制吐薬は,錐体外路系などの有害事象から,ガイドライン上でも「有効性とのバランスを勘案して使用を決める」こととなっている。国内の整腸薬については,エビデンスレベルは低いが,有害事象はほとんどない。止痢薬であるロペミン®(ロペラミド)は小児に対して有効性を認めるが,中枢神経系の有害事象のため慎重に投与すべきとされている。止痢薬であるアドソルビン®(天然ケイ酸アルミニウム)やタンナルビン®(タンニン酸アルブミン)については,エビデンスレベルが低い。

    【胃腸炎関連痙攣】

    テグレトール®(カルバマゼピン)の単回投与が有効とされる。セルシン®(ジアゼパム)やダイアップ®(ジアゼパム),ミダフレッサ®(ミダゾラム)などは多くの症例で無効である。

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