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構音障害[私の治療]

No.4984 (2019年11月02日発行) P.44

渡邊 章 (東京歯科大学口腔顎顔面外科学講座講師)

登録日: 2019-10-31

最終更新日: 2019-10-30

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  • 構音障害には,構音操作を獲得する過程で生じた機能性構音障害と発声発語器官の形態的異常による器質性構音障害にわかれる。機能性構音障害は,構音器官や聴覚に明らかな異常はみられず,構音の誤りが定着している状態である。器質性構音障害には後天的なものがある。

    ▶診断のポイント

    【機能性構音障害】

    置換や歪みなどの構音の誤りは,正常構音を獲得する際にもみられることがある。構音障害と診断するには,年齢,言語発達,運動発達などの発育状態を十分に考慮する必要がある。診断基準項目として,①構音器官の形態,機能の異常がない,②正常範囲内の聴力がある,③言語発音がおおむね4歳児レベル以上である,④音の誤りが固定化している,が挙げられる。

    【器質性構音障害】

    先天的なものとして鼻咽腔閉鎖機能不全をきたす先天性鼻咽腔閉鎖機能不全症,口唇裂・口蓋裂,舌癒着症(舌小帯短縮症),などがある。また,後天的なものとして口腔癌などがある。口腔内の評価と鼻咽腔閉鎖機能検査と言語評価を行う必要がある。

    ▶私の治療方針・処方の組み立て方

    鼻咽腔閉鎖機能検査と言語評価は様々な方法があり,聴覚的判定,ブローイング(吹き出し)検査,鼻息鏡による呼気鼻漏出検査,セファロX線検査,鼻咽腔ファイバー検査などがある。また,歯列不正や口腔機能の一部欠損による代償性の言語なのかを十分に判断する必要がある。これらを総合的に判断し,機能性構音障害(代償性の構音異常も含める)は言語訓練を行い,鼻咽腔閉鎖機能不全が存在する場合には,スピーチエイドや再口蓋形成術,咽頭弁形成術などの計画を立てる。

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