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早産予防用ペッサリーについて

No.4980 (2019年10月05日発行) P.55

室月 淳 (宮城県立こども病院産科科長)

野見山 亮 (国立病院機構佐賀病院産婦人科統括診療部長)

登録日: 2019-10-08

最終更新日: 2019-10-01

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  • 切迫早産妊婦に対して早産予防のための子宮頸管ペッサリーが有効だと聞きました。早産予防用ペッサリーとはどのようなものでしょうか。早産予防の効果としてどの程度のエビデンスがあるのでしょうか。国立病院機構佐賀病院・野見山 亮先生にご回答をお願いします。

    【質問者】

    室月 淳 宮城県立こども病院産科科長


    【回答】

    【早産率低下を認める報告がある一方,有意差を認めない報告も】

    1960年頃から欧州を中心として,早産予防を目的とした子宮脱用のペッサリーの使用成績が報告されるようになりました。さらに早産予防用として子宮頸管にフィットする専用のペッサリーが開発されました。

    わが国でも2015年10月から,避妊用ペッサリーとしての医療機器承認ではありますが,ドイツで製造されているドクターアラビンペッサリーが市販されています。材質はシリコンで形状はコーン状(上方部内径が32~35mm,下方部外径が65~70mm,高さが21~25mm)で,上方部内径を先にして腟内に挿入し子宮頸管にフィットさせます。柔らかいので挿入や抜去は比較的簡単で,患者の違和感は挿入・抜去時以外はほとんどありません。副作用の発生は,帯下の増加をほとんどの症例で認める以外は稀です。

    早産ハイリスク単胎妊娠に対するペッサリーの有効性については,現在までに2つのmeta-analysisが行われています1)2)。2019年に発表された最新のmeta-analysis1)では,4つのRCTデータを用いて解析し,妊娠34週未満の早産率は有意差を認めませんでした。しかし妊娠37週未満の早産率については,データを利用できたのは2つのRCTのみですが,ペッサリー使用群のほうが有意に減少しています。

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