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発作性夜間へモグロビン尿症(PNH)[私の治療]

No.4975 (2019年08月31日発行) P.40

二宮治彦 (筑波大学医学医療系臨床医学域医療科学教授)

登録日: 2019-08-31

最終更新日: 2019-08-28

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  • 発作性夜間へモグロビン尿症(paroxysmal nocturnal hemoglobinuria:PNH)は,PIGA(phosphatidylinositol glycan-class A)遺伝子に後天的な変異が生じた造血幹細胞がクローン性に拡大することにより発症する。溶血,骨髄不全,血栓症を主症状とする。これらの病態はPIGA変異の結果,PNH血球上でglycosyl phosphatidylinositol(GPI)アンカー型膜蛋白が欠損することに起因している。PNHの血管内溶血は,PNH赤血球上で補体制御性GPIアンカー型膜蛋白CD55,CD59が欠損することに起因する。

    ▶診断のポイント

    診断は特発性造血障害に関する調査研究班の診療の参照ガイド1)の診断基準による。Ham試験,ショ糖水試験により補体感受性赤血球が検出され,GPIアンカー型膜蛋白(CD55,CD59)欠損赤血球がフローサイトメトリーで1%以上検出されればPNHの診断は確定する(顆粒球の検索も推奨する)。

    ▶私の治療方針・処方の組み立て方

    骨髄不全を合併する症例では,免疫抑制療法や蛋白同化ステロイド療法を行う。輸血療法を適宜行う。造血幹細胞移植の適応は慎重に考慮し,PNHの重症度のみでは積極的な適応とはしない。中等症・重症例には抗補体療法が適応となるが,リスク(特に髄膜炎菌感染リスク)には十分に配慮し,対策を行う。

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