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近未来の角膜内皮治療について

No.4970 (2019年07月27日発行) P.48

福地健郎 (新潟大学大学院医歯学総合研究科眼科学教授)

奥村直毅 (同志社大学生命医科学部医工学科准教授)

登録日: 2019-07-26

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  • 近未来の角膜内皮治療について,同志社大学・奥村直毅先生にご回答をお願いします。

    【質問者】

    福地健郎 新潟大学大学院医歯学総合研究科眼科学教授


    【回答】

    【従来の角膜移植に加え,培養角膜内皮細胞注入療法によっても治療が可能に】

    角膜内皮細胞は生体内ではほとんど再生しないために,疾患や外傷により重度に障害されると,角膜が白く濁り視力障害を生じます。角膜の全層をドナー角膜に置き換える全層角膜移植が唯一の治療法でしたが,近年はDescemet’s stripping automated endothelial keratoplasty(DSAEK)やDescemet’s membrane endothelial keratoplasty(DMEK)などの角膜内皮移植が世界的に普及しています。しかし米国を除く多くの国でのドナー不足,手術のラーニングカーブ,移植した角膜内皮が徐々に障害されることによる再移植など,課題はあります。

    このような課題を解決して,安全かつ簡便な手術手技で,より高い治療効果を得ることができないかと多くの研究チームが再生医療の研究を進めてきました。筆者らの研究グループでは,ドナーの角膜より採取した角膜内皮細胞を大量に培養する技術の開発を行いました。さらに,培養した角膜内皮細胞を懸濁液として,Rhoキナーゼ阻害薬とともに眼内に注入することで角膜内皮の再生が可能であることを非臨床研究で明らかにしました。

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