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HIV感染者で考慮するべきワクチンについて

No.4968 (2019年07月13日発行) P.57

村松 崇 (東京医科大学臨床検査医学科)

吉村幸浩 (横浜市立市民病院感染症内科医長)

登録日: 2019-07-11

最終更新日: 2020-10-09

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  • ヒト免疫不全ウイルス(human immunodeficiency virus:HIV)感染者の診療をする上で考慮するべきワクチンや注意点,問題について教えて下さい。横浜市立市民病院・吉村幸浩先生にご回答をお願いします。

    【質問者】

    村松 崇 東京医科大学臨床検査医学科


    【回答】

    【現在,わが国にはHIV感染者へのワクチン接種に関するガイドラインがない】

    近年,HIV感染者の予後は劇的に改善し,健常者とほぼ同等の生活を送ることができるようになりました。一方でHIV感染者は細胞性免疫が障害され,易感染性かつ感染症が重症化する危険性が高いです。そのため予防がより重要となっており,ワクチンはその有力な手段です。ただし注意しておきたいのは,HIV感染者はワクチンによって免疫が誘導されにくく,一度獲得した免疫が低下しやすいという事実です。

    具体的な話を進めると,血漿CD4陽性リンパ球数(CD4数)が200/μL未満の人には生ワクチンは禁忌です。一方で,不活化ワクチンなどの非生ワクチンは,CD4数の値によらず接種可能です。現在,わが国にはHIV感染者へのワクチン接種に関するガイドラインはありません。米国では,インフルエンザ,破傷風・ジフテリア・百日咳,ヒトパピローマウイルス(human papillomavirus:HPV),肺炎球菌,A型肝炎ウイルス(hepatitis A virus:HAV),B型肝炎ウイルス(hepatitis B virus:H BV),髄膜炎菌,インフルエンザ菌b型(以上,非生ワクチン)および麻疹・風疹・ムンプス,水痘(以上,生ワクチン)が19歳以上のHIV感染者に対して推奨されています。

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