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悪性腫瘍に伴う高カルシウム(Ca)血症[私の治療]

No.4967 (2019年07月06日発行) P.45

山内美香 (島根大学医学部内科学講座第一准教授)

登録日: 2019-07-06

最終更新日: 2019-07-03

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  • 悪性腫瘍が要因となって,骨吸収亢進などによる血中へのカルシウム(Ca)の動員が過度となり,高Ca血症をきたす場合を悪性腫瘍に伴う高Ca血症(malignancy associated hypercalcemia:MAH)と呼ぶ。MAHは,骨以外の臓器に存在するがんが分泌する液性因子により骨吸収が亢進し,高Ca血症をきたす液性悪性腫瘍性高Ca血症(humoral hypercalcemia of malignancy:HHM)と,骨に存在するがんが骨吸収を亢進させる局所骨融解性高Ca血症(local osteolytic hypercalcemia:LOH)の2つに大別される。MAHの約80%はHHMで,残り約20%をLOHが占める。MAHはがん患者の予後悪化因子であり,直接死因ともなりうる。

    ▶診断のポイント

    HHMの主な原因は腫瘍細胞から分泌される副甲状腺ホルモン関連蛋白(parathyroid hormone-related protein:PTHrP)であり,PTHrPは副甲状腺ホルモン(parathyroid hormone:PTH)と同じくPTH/PTHrP受容体に結合し,高Ca血症と低リン(P)血症をきたす。PTHrP産生腫瘍をきたすがんには,頭頸部や肺などの扁平上皮癌,成人T細胞リンパ腫などがある。一方,LOHは多発性骨髄腫や乳癌などの骨転移巣が局所で骨吸収を亢進することで高Ca血症をきたす。

    【検査所見】

    がん患者では低アルブミン(Alb)血症を有する場合が多いため,血清Alb 4g/dL未満の場合には,換算式にて補正Caを算出する〔補正Ca[mg/dL]=実測Ca[mg/dL]+(4-血清Alb[g/dL])〕。HHMでは,高Ca血症かつPTH低値,PTHrPの上昇を認める。LOHでは,PTHrPの上昇は認めない。骨転移による骨代謝マーカーの上昇を認める。

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