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乳酸アシドーシス[私の治療]

No.4961 (2019年05月25日発行) P.47

税所芳史 (慶應義塾大学医学部腎臓内分泌代謝内科専任講師)

島田 朗 (埼玉医科大学内分泌・糖尿病内科教授)

登録日: 2019-05-27

最終更新日: 2019-07-09

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  • 乳酸アシドーシスは,乳酸の産生増加や代謝の低下により血中に乳酸が蓄積し代謝性アシドーシスをきたす疾患であり,一般に予後不良である。早急な対応が必要とされ,全身管理を行いながら原因となる病態の是正に努める。糖尿病治療薬であるビグアナイド薬の重篤な副作用でもあり,乳酸アシドーシスの発症リスクの高い患者への投与を避ける必要がある。

    ▶診断のポイント

    臨床症状は意識障害,嘔気・嘔吐,心窩部痛,食欲不振などがあり,痙攣を伴うこともある。血液ガス分析でpH 7.35以下,血中乳酸値〔基準値はおよそ0.44~1.78mM(4~16mg/dL)〕が5~6mM(45~54mg/dL)以上を示す場合,乳酸アシドーシスと診断する。血漿重炭酸イオン(HCO3-)濃度の低下,anion gapの増大などの検査所見も参考になる。

    乳酸アシドーシスは臨床的に明らかな組織低酸素・循環不全を伴うtype Aとそれ以外のtype Bに分類される。type Aの乳酸アシドーシスにはショック(心原性,出血性,敗血症性),急性低酸素血症(呼吸不全),一酸化中毒などが含まれる。type Bの原因は薬剤(アルコール,サリチル酸など)によるもの,全身疾患(糖尿病,肝疾患,悪性疾患,ビタミンB1欠乏など)によるもの,先天性代謝異常によるものなど多岐にわたり,ビグアナイド薬による乳酸アシドーシスはtype Bに分類される。ビグアナイド薬は肝細胞のミトコンドリア膜に結合し,酸化的リン酸化を阻害することによりTCA(tricarboxylic acid)サイクルを低下,NADH/NAD比を上昇させ,乳酸生成を亢進すると考えられている。また,ビグアナイド薬の血糖降下作用機序のひとつに肝臓での糖新生の抑制がある。それがピルビン酸の蓄積につながり,乳酸増加を促す一因となっている。

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