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精神科診察室─人生におけるダグアウト席[プラタナス]

No.4960 (2019年05月18日発行) P.3

松本俊彦 (国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所薬物依存研究部部長)

登録日: 2019-05-18

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  • 精神科医に「写真つきのコラムを書け」というのは、これまた何とも無理難題だ。なにしろ、精神症状ほど写真にしにくいものはない。だが、ふと頭の中で閃くものがあり、この写真を選んでみた。

    これは私の患者が描いたものだ。自傷の衝動に襲われたときに、現実に自傷する代わりにできるだけ丁寧に自傷した自分の腕の絵を描き、その作業に没頭することで衝動を紛らわせる─患者が自発的にあみだした対処法だ。教科書的にはとても推奨できる方法ではない。絵のリアルさに触発されてかえって自傷したくなる可能性があるからだ。だが、この患者に限っては効を奏した。何度も描いているうちに画力が高まり、絵は気味が悪いほどリアルになった。

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