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形成外科における海外ボランティア手術の現状と問題点は?

No.4959 (2019年05月11日発行) P.52

雑賀厚臣 (聖マリア病院形成外科診療部長)

森岡大地 (昭和大学医学部形成外科学教室准教授)

登録日: 2019-05-08

最終更新日: 2019-05-07

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  • 形成外科における海外ボランティア手術の現状と問題についてご教示下さい。昭和大学・森岡大地先生にご解説をお願いします。

    【質問者】

    雑賀厚臣 聖マリア病院形成外科診療部長


    【回答】

    【訪問国によって医療事情は異なるため,臨機応変の手術手技が求められる】

    私は1999年にネパールでの唇顎口蓋裂ミッションに参加して以来,国際NGOの一員として毎年数回アジア・中東諸国に赴き手術を行っていますが,ここ10年くらいの間に大きな変化を感じています。多くの団体が形成外科ミッションを行うようになっており,国際NGOだけでなく大学や一般病院単位で行っている場合もあります。

    変化の要因は,途上国の経済発展とインターネットの普及と考えます。訪問国のビザ取得が容易になったり,受け入れ病院を探したり現地スタッフと連絡を取り合ったりするのも,ネットを介せばメールも会話もほぼ無料で即座に対応できます。団体が増えてより多くの患者が治療を受けられるのはよいことですが,問題もいくつかあります。

    途上国全体が経済発展を遂げていても,手術を希望する患者は「国の発展に取り残された層」です。最低限の術前検査で全身麻酔をしなくてはならないため,麻酔科医のプレッシャーは外科医以上です。わが国での手術と同じように,「じっくり時間をかけて納得いくまでデザインし,切り,縫合して」は高リスクになることがあります。私たちは自分の手技(主義)を貫くよりも麻酔科医の判断を優先することを理解しなくてはなりません。

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