20年後、医療はデータの活用によって大きな変化を遂げているだろう。
2018年には心電図を測定できる機能がアップルウォッチに搭載され、話題になった。20年後はウェアラブル端末が進化し、日常生活を送りながらより多様なデータを取得できるようになっている可能性が高い。さらにAI(人工知能)スピーカーなど、ユーザーの行動をデータとして蓄積できるデバイスもより普及・進化しているだろう。温度や湿度、気圧や天気など、環境に関するデータもより容易に取得できるようになっていると予想される。
こうした日々の健康や環境に関するデータに加え、医療現場で発生するデータも、より豊富に取得できるようになるとみている。例えばMICINでは現在、オンライン診療サービス「curon(クロン)」を展開している。業界のリーディングカンパニーではあるものの、現在の導入件数は約1100件と全クリニック数(約10万件)におけるシェアは1%程度にとどまる。ただ今後、より制度の整備などが進むことで20年後には診療形態の1つとして根づいているだろう。オンライン診療が普及・活用されるようになれば、問診中の医者と患者のやりとりなどの新たな情報をデータ化できるようになる。
こうして収集できるデータの種類が増える一方で、既存データを有効に利用できる体制づくりも整備されるだろう。現在、医療情報のデータベース化ではエストニア共和国が先行しているが、日本でも基盤づくりが進んでいる。20年後には、各個人の健康診断の結果や医療データ、介護データが結びつき、一気通貫で参照できるような仕組みができていることが期待される。
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