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脳血管内治療の近未来予想:医療機器のテーラーメード化と磁場誘導システム[特集:医療の近未来予想図]

No.4958 (2019年05月04日発行) P.23

石井 暁 (京都大学大学院医学研究科脳神経外科講師)

登録日: 2019-05-01

最終更新日: 2019-04-25

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  • 脳血管内治療とは、脳動脈瘤や脳動脈閉塞などの脳血管の疾患を脳血管の中からカテーテルを用いて治療する方法である。くも膜下出血に対する脳動脈瘤コイル塞栓術や急性期脳梗塞に対する再開通治療のほか、様々な脳血管疾患が本治療の対象である。この治療の特徴は、新しい医療機器の開発により大きく進歩する点である。2015年に急性期脳梗塞の再開通治療がtPA静注による血栓溶解治療の単独治療に比して有意に患者の予後を改善することが証明されたのは、ステントレトリーバーという血栓回収機器が開発されたためである。今後ますます多くの新しい機器が開発され、本治療は発展していくと思われるが、近未来で大きなブレイクスルーと予想されるのは、医療機器のテーラーメード化と磁場誘導システムである。 

    脳血管内治療では、脳動脈瘤内にコイル、脳血管内にステントなどの永久埋込型の機器を使うことが多い。例えば、脳動脈瘤は大きさ・形状も様々であり、適切に脳動脈瘤を閉塞するためには適切なサイズのコイルを選択する必要があり、医師には相応の経験が必要である。しかし、治療前に脳動脈瘤の画像情報から、より各々の脳動脈瘤にフィットするコイルを製造することはさほど遠くない未来に実現するであろう。おそらく、その頃にはコイルではなく、動脈瘤内に埋め込んで直ちに血流を遮断する新たなテーラーメードタイプの医療機器が開発されているであろう。テーラーメード技術が進み、メッシュ状の風船のような機器がコイルにとってかわるのはこの10年以内と予想される。

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