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自家薬籠中の薬「P-drug」を増やすためのリストとして活用してほしい
─『治療薬の臨床薬理データブック』編者・渡邉裕司氏(日本臨床薬理学会前理事長)に聞く

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  • 臨床薬理学会として看過できなかったドラマ「ブラックペアン」の描写

    ──先生は今年11月まで日本臨床薬理学会理事長を2期4年務められましたが、その中で特に力を入れたことは何ですか。

    渡邉 臨床薬理学は非常に横断的な学問領域です。私自身は循環器内科というバックグラウンドを持っていますが、臨床薬理学会にはいろいろなバックグラウンドを持った方が参加しています。臨床薬理学のミッションに興味を持つ方であれば、どんな専門性を持つ人でも幅広く参加していただきたいということで、6つの地方会を整備するなど、臨床薬理の魅力を多くの人に知ってもらうための活動に取り組んできました。

    臨床薬理学のプレゼンスを上げるための取り組みにも力を入れ、2018年4月1日に施行された臨床研究法では、臨床試験を進める上で欠かせない人材ということで「臨床薬理学の専門家」が技術専門員の基準に明記されました。

    ──今年5月には、TBSドラマ「ブラックペアン」でのCRC(治験コーディネーター)の描写に対して臨床薬理学会として抗議し、世間の注目を集めました。

    渡邉 「ブラックペアン」の件では、TBSの関係者の方と何回か直接面談をしました。

    制作者の皆さんは一生懸命ドラマをつくっていると思うのですが、CRCという臨床試験で重要な役割を果たしている人たちの描き方に、ドクターを接待するなど、実際とはかなりかけ離れた描写がありました。

    それ以上に深刻に捉えたのは、患者さんに負担軽減費という形でCRCが300万円の小切手を渡す場面でした。実際、治験に善意で協力してくれる方はたくさんいて、そういう方々は決してお金が目的ではなく、何か新しい医療をつくるために貢献したいという思いで参加してくれています。テレビであのような描写をされると、「あの人も300万円もらっているかもしれない」などという誤解が生まれかねず、それではこれまで治験に参加してくれた被検者の方々に申し訳ないという思いで、学会として対応しました。

    CRCの描き方だけの問題でしたら、学会として対応することはなかったかもしれません。

    日本臨床薬理学会としてTBS社長宛に送付した抗議文「ドラマ『ブラックペアン』における治療コーディネーターと負担軽減費に関する学会の見解」(2018年5月)

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