株式会社日本医事新報社 株式会社日本医事新報社

CLOSE

慢性前立腺炎の薬物治療について

No.4924 (2018年09月08日発行) P.59

東郷容和 (医療法人協和会協立病院泌尿器科)

松川宜久 (名古屋大学大学院医学系研究科泌尿器科学教室講師)

登録日: 2018-09-05

最終更新日: 2018-09-04

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
    • 1
    • 2
  • next
  • 慢性前立腺炎の診断および治療は難渋するケースが少なくありません。抗菌薬の耐性化が進んでいる中,現在の薬物治療の中心であるキノロン系薬剤をどのように使用し,他剤をどのようなタイミングで使用すべきでしょうか。排尿障害治療の専門家である名古屋大学・松川宜久先生にご教示をお願いします。

    【質問者】

    東郷容和 医療法人協和会協立病院泌尿器科


    【回答】

    【細菌性か非細菌性かの鑑別が重要。個々の症例,症状に合わせた治療を考える】

    前立腺炎とは,何らかの原因により前立腺に炎症が起こり,発熱や下腹部・会陰部痛,頻尿・残尿感・排尿時痛などの下部尿路症状がみられます。診断においては,細菌性によるものか非細菌性か,急性か慢性かを鑑別することが肝要です。しかし,慢性前立腺炎では症状が多彩であり,ご質問にもある通り,薬物治療の種類や投与期間など不明な点もあり,診断,治療に苦慮することが多いのが現状です。

    前立腺炎に対するアプローチとして,米国国立衛生研究所(National Institutes of Health:NIH)による前立腺炎のカテゴリー分類(Ⅰ~Ⅳ)にしたがって診断,治療を行うことが推奨されます。急性前立腺炎については,その発症形式,発熱などの症状などから鑑別は容易と思われますが,慢性前立腺炎が疑われる場合は,前立腺マッサージで得られる前立腺圧出液(expressed prostatic secretion:EPS),中間尿(voided bladder urine 2:VB2),前立腺マッサージ後の初期尿(voided bladder urine 3:VB3)の白血球および細菌の有無を評価して,NIHカテゴリーでⅡ,Ⅲに分類される細菌性か非細菌性かの鑑別を行います。

    残り646文字あります

    会員登録頂くことで利用範囲が広がります。 » 会員登録する

    • 1
    • 2
  • next
  • 関連記事・論文

    関連書籍

    関連求人情報

    公立小浜温泉病院

    勤務形態: 常勤
    募集科目: 消化器内科 2名、呼吸器内科・循環器内科・腎臓内科(泌尿器科)・消化器外科 各1名
    勤務地: 長崎県雲仙市

    公立小浜温泉病院は、国より移譲を受けて、雲仙市と南島原市で組織する雲仙・南島原保健組合(一部事務組合)が開設する公設民営病院です。
    現在、指定管理者制度により医療法人社団 苑田会様へ病院の管理運営を行っていただいております。
    2020年3月に新築移転し、2021年4月に病院名を公立新小浜病院から「公立小浜温泉病院」に変更しました。
    6階建で波穏やかな橘湾の眺望を望むデイルームを配置し、夕日が橘湾に沈む様子はすばらしいロケーションとなっております。

    当病院は島原半島の二次救急医療中核病院として地域医療を支える充実した病院を目指し、BCR等手術室の整備を行いました。医療から介護までの医療設備等環境は整いました。
    2022年4月1日より脳神経外科及び一般外科医の先生に常勤医師として勤務していただくことになりました。消化器内科医、呼吸器内科医、循環器内科医及び外科部門で消化器外科医、整形外科医の先生に常勤医師として勤務していただき地域に信頼される病院を目指し歩んでいただける先生をお待ちしております。
    又、地域から強い要望がありました透析業務を2020年4月から開始いたしました。透析数25床の能力を有しています。15床から開始いたしましたが、近隣から増床の要望がありお応えしたいと考えますが、そのためには腎臓内科(泌尿器科)医の先生の勤務が必要不可欠です。お待ちいたしております。

    ●人口(島原半島二次医療圏の雲仙市、南島原市、島原市):126,764人(令和2年国勢調査)
    今後はさらに、少子高齢化に対応した訪問看護、訪問介護、訪問診療体制が求められています。又、地域の特色を生かした温泉療法(古くから湯治場として有名で、泉質は塩泉で温泉熱量は日本一)を取り入れてリハビリ療法を充実させた病院を構築していきたいと考えています。

    もっと見る

    関連物件情報

    もっと見る

    page top