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ADLの低下した高齢の進行肺癌患者の診療方針の決定【患者とその介護者が「いい人生だった」と言えるような支援をすることが重要】

No.4913 (2018年06月23日発行) P.56

山口泰弘 (東京大学大学院医学系研究科加齢医学講座講師)

山本 寛 (東京都健康長寿医療センター呼吸器内科部長)

登録日: 2018-06-20

最終更新日: 2018-06-19

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  • 新規の分子標的薬や免疫療法が次々と登場し,高齢者の進行がんの治療選択の幅が広がっています。ADL低下を伴う高齢者であっても,がんそのものに対する治療の一部は施行可能になっているように思われます。そのような現況にあって,高齢の肺癌患者を診療することが多い東京都健康長寿医療センター・山本 寛先生に,ADLの低下した高齢の肺癌患者に対する積極的な診断・治療の適応をどのように決定し,進めているか解説をお願いします。

    【質問者】

    山口泰弘 東京大学大学院医学系研究科加齢医学講座 講師


    【回答】

    2016年の政府統計によれば,肺癌で死亡する患者の89%が65歳以上の高齢者であり,高齢者を知らずに肺癌診療を行うことはもはや不可能な時代になっています。

    高齢者のほとんどが治療による延命を希望していないため,「生活機能を維持すること」を目標に診断・治療の計画を立案します。患者それぞれのADL,精神・心理機能,社会的・経済的状態,合併症に配慮し,介入可能な老年症候群にも真摯に対処することが,高齢者の肺癌薬物療法を安全に継続するための鍵となります。

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