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【他科への手紙】腎臓内科→一般内科

No.4912 (2018年06月16日発行) P.55

加藤明彦 (浜松医科大学附属病院血液浄化療法部病院教授)

登録日: 2018-06-13

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  • 「急性腎障害(acute kidney injury:AKI)」という用語はご存じと思いますが、日常診療でどれくらい意識されているでしょうか。従来、数日~数週間をかけて血清クレアチニンが2.0~2.5mg/dL以上まで急速に上昇する病態を、「急性腎不全」と呼んでいました。しかし最近になり、比較的軽度で可逆性のある急性の腎機能低下も、腎予後や生命予後に悪影響することがわかってきました。

    そこで、2012年にKDIGO(Kidney Disease :Im-proving Global Outcomes)から、統一したAKIの診断基準が発表されました。こちらでは、AKIを、①48時間以内に血清クレアチニンが0.3mg/dL以上まで上昇した場合、②血清クレアチニンが7日以内の基礎値より1.5倍以上増加した場合、③尿量が6時間にわたって0.5mL/kg/時間未満に減少した場合、で定義しています。本邦の関連5学会から発表された「AKI(急性腎障害)診療ガイドライン2016」でも、AKI診断にKDIGO基準を用いることを提案しています。

    院内(特にICU)発症のAKIと異なり、院外発症のAKIでは脱水や感染症が主因となります。AKIの発症には季節性があり、気温が高い夏場にはレニン・アンジオテンシン系阻害薬や消炎鎮痛薬による正常血圧性の腎前性AKI、ビタミンD中毒による高カルシウム血症によるAKIが増えます。一方、1月などの寒い季節では、高齢者の肺炎や心不全によるAKIが中心となります。

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