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臨床経過が多様である肺MAC症への対応【薬物療法,集学的治療,経過観察を適宜考慮し,他疾患合併疑いを含め専門医に相談】

No.4896 (2018年02月24日発行) P.50

渡辺 彰 (東北大学加齢医学研究所 抗感染症薬開発寄附研究部門教授)

菊地利明 (新潟大学大学院医歯学総合研究科呼吸器・感染症内科学分野教授)

登録日: 2018-02-27

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  • 最近,非結核性抗酸菌(non-tuberculous mycobacteria:NTM)症が増えていますが,わが国で特に多い肺M. avium complex(MAC)症の臨床経過は様々で,対応に苦慮しています。どのように対応したらよいでしょうか。
    抗酸菌症の中でも,結核は緩やかに減少中ですが,MAC症を中心とするNTM症は増加が続いています。しかし,肺MAC症では,診断基準を満たしても無治療でまったく変化・悪化のない人から,標準治療で排菌が停止して改善する人,反応に乏しい人,一時は排菌が停止しても再排菌して徐々に増悪する人まで,様々です。肺MAC症に詳しい新潟大学・菊地利明先生から肺MAC症への対処方針について教えて頂ければ幸いです。

    【質問者】

    渡辺 彰 東北大学加齢医学研究所 抗感染症薬開発寄附研究部門教授


    【回答】

    NTMは,水系や土壌などの自然環境のほか,浴室などの居住環境にも広く生息しています。その吸入曝露によって慢性呼吸器感染症である肺NTM症を発症します。

    NTMの菌種は150種類以上知られているものの,すべての菌種が呼吸器感染するわけではありません。わが国の肺NTM症の9割はマイコバクテリウム・アビウム(M. avium)とマイコバクテリウム・イントラセルラーエ(M. intracellulare)の2菌種によることから,この2菌種をMAC(呼称「マック」)と一括し,その呼吸器感染症を肺MAC症と呼んでいます。

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