株式会社日本医事新報社 株式会社日本医事新報社

CLOSE

視覚障害認定「良い方の眼の視力」に改正【身体障害認定分科会】

No.4891 (2018年01月20日発行) P.14

登録日: 2018-01-16

最終更新日: 2018-01-18

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

厚生労働省の疾病・障害認定審査会身体障害認定分科会(中村耕三分科会長)は15日、視覚障害の認定基準の改正案を了承した。「良い方の眼の視力」での認定や自動視野計による新たな認定基準を盛り込んだ。厚労省はパブリックコメントを経て、今春にも省令や通知を改正する方針。

現行では、視力障害の等級を「両眼の視力の和」によって判定している。しかし、日常生活は両眼開放で行っていることから、現行基準より等級が下がるケースを除き、「良い方の眼の視力」による判定に変更する。

ゴールドマン型視野計のみだった視野障害の認定基準については、広く普及している自動視野計を追加。これまでは認定されていなかった中心暗点、傍中心暗点など中心視野のみの障害にも対応する。

■腎臓機能障害の基準に「eGFR」の指標を追加

同日の分科会では、腎臓機能障害の認定基準の見直しも検討。内因性クレアチニンクリアランス値や推算糸球体濾過量(eGFR)を検査データの指標に追加することも了承された。

これは、日本腎臓学会や日本透析医学会が昨年12月、厚労省に提出した要望書を踏まえた対応。12歳を超えて腎臓機能障害と認定する場合、血清クレアチニン濃度が指標に用いられている。しかし両学会は、クレアチニンは筋肉からの老廃物であるため、高齢者や女性などでは腎機能障害による日常生活の困難度に比べ低い値になると問題視し、小児の検査データの指標に適用している、身長や体重を加味した内因性クレアチニンクリアランス値を指標に追加することを求めた。その上で、内因性クレアチニンクリアランス値は検査が煩雑であることから、より簡便なeGFRも指標として認めることが適当とした。

厚労省は要望書を受け、現行の認定基準から、内因性クレアチニンクリアランス値は12歳を超える者に適用しないとの記載を削除。その上で、改正案には、3級や4級では血清クレアチニン濃度に替えて、eGFRでの認定を可能とすると追記した。厚労省は今春にも通知を発出するとしている。

関連記事・論文

もっと見る

関連書籍

関連物件情報

もっと見る

page top