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O157食中毒広域発生、自治体間の情報共有を強化へ【厚生労働省】

No.4883 (2017年11月25日発行) P.15

登録日: 2017-11-20

最終更新日: 2017-11-22

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厚生労働省は17日、薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会で、今夏に関東地方を中心に多発した腸管出血性大腸菌O157による食中毒事例に関する調査結果を報告した。調査結果を踏まえ厚労省は、食中毒事例の広域発生に備え、国や自治体の間の情報共有体制の強化を図る方針。

群馬、埼玉両県の総菜店で8月に発生したO157による集団食中毒事例では、VT2と呼ばれる型のベロ毒素を産生する株の中でも、同一遺伝子型のものが多くの患者から検出された。厚労省は9月、全国の自治体に調査票を配布。調査票に記載のあるVT2株の遺伝子を分析した結果、7月17日~9月1日に発症した141件中116件の菌株情報が判明し、うち91件が同一遺伝子型だった。

患者数を時期別にみると、7月末~8月初頭に1つ目の「山」が認められ、11都県で50人の患者が報告された。ただ、原因の特定ができず、集団食中毒とは言えない散発的な感染症事例とされた。2つ目の「山」は8月中旬で、総菜店での事例を含む24人の患者が報告、うち3歳の女児1人が死亡した。

調査報告書では、同一遺伝子型による広域発生の早期探知が遅れた要因として、国や自治体の間の情報共有体制が不十分だったことなどを指摘している。厚労省は今後、地方ブロックごとに広域連携協議会の設置を検討。自治体内での感染症部門・食中毒部門の調査協力マニュアルを策定するほか、食中毒による溶血性尿毒症症候群(HUS)の予後規定因子に関する科学的知見も整理する。

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