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食道インピーダンスpHモニタリング(MII-pH)による小児食道機能評価【小児では自動解析後,手動解析での波形の確認が推奨されている】

No.4862 (2017年07月01日発行) P.50

齋藤 武 (千葉大学小児外科准教授)

吉田英生 (千葉大学小児外科教授)

登録日: 2017-06-28

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近年,食道機能検査としてMII-pH検査が注目されている。食道内の電気抵抗を測定することで内容物の性状(気体か液体か)を認識し,センサーを複数個連ねることで内容物の動きを評価する。従来,胃食道逆流(GER)の判定に24時間pH検査が汎用されてきたが,これには非酸逆流を識別できない,酸性飲食物を摂取した際に逆流と判定される,逆流の及ぶ高さに関する情報が得られない,といった問題があった。MII-pHは諸点を解決しGERの実態に迫る検査法である。

日本小児消化管機能研究会はワーキンググループを立ち上げ,本検査のプロトコール案を作成したが,この大本はESPGHAN EURO-PIG standard protocol1)である。解析には種々のパラメーターが登場するが,小児では年齢に応じた正常値が規定されておらず,項目により参考値が示されている。また,成人とは異なり,自動解析後,手動解析での波形の確認が推奨されている。

本検査を用いた小児GERの評価試案も同ワーキンググループで検討されている。わが国ではGER判定の一要件として酸逆流時間率(reflux index:RI)が使われてきたが,試案ではRI,総逆流回数と症状関連指標を考慮している。ただし,胃食道逆流症(GERD)の診断と治療に際しては,本検査結果を鵜呑みにすることは避け,他検査所見にも配慮した総合的判断が必要である。

【文献】

1) Wenzl TG, et al:J Pediatr Gastroenterol Nutr. 2012;55(2):230-4.

【解説】

齋藤 武*1,吉田英生*2 *1千葉大学小児外科准教授 *2同教授

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