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日本の研究の将来を考える [なかのとおるのええ加減でいきまっせ!(141)]

No.4847 (2017年03月18日発行) P.82

仲野 徹 (大阪大学病理学教授)

登録日: 2017-03-18

最終更新日: 2017-03-14

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  • 血液学の若手研究者を育成するための勉強会がある。10年少し前の発足時、発表してもらう人を決めるのに、血液学のトップジャーナルであるBlood誌に掲載された論文を使うことにした。日本からの論文が年間に60~70報あったので、それらの筆頭著者から若い研究者を十数人選ぶやり方だ。

    何年か続けると、面白いことがわかってきた。絞り込んだテーマでコンスタントにいい論文を出し続けている教室が地方大学にいくつもあることが目をひいた。一方で、必ずしも歴史ある教室からBlood誌に論文が出ているとは限らないことがわかった。

    その選び方が長らく踏襲されていたのだが、ここ数年、日本からの論文が少なくなりすぎて、不可能になったと耳にした。どれくらい減っているのかをデータベースで調べてみた(グラフ)。さすがに驚いた。


    いくらなんでもこの凋落はひどすぎる。全盛期の4分の1近くにまで減っているのだ。違う分野はどうか、と循環器病学のCirculation誌も調べてみて、さらに驚いた。減り方の時期に多少の違いがあるけれど、あまりにもよく似た傾向なのである。

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