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小児特発性ネフローゼ症候群の新しい知見【リツキシマブの有効性,ステロイド減量における国際法の有用性】

No.4839 (2017年01月21日発行) P.54

中野 優 (名古屋市立大学新生児・小児医学)

齋藤伸治 (名古屋市立大学新生児・小児医学教授)

登録日: 2017-01-18

最終更新日: 2017-01-17

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小児特発性ネフローゼ症候群(nephrotic syndrome:NS)は蛋白尿と低蛋白血症をきたす疾患で,罹患率は5人/10万人・年である。NS治療の中心はステロイド(PSL)である。NSに対するPSL治療は1950年代から報告されており,この治療効果はT細胞関連サイトカインの抑制によってもたらされると考えられている。

しかし,2004年にBenzらが頻回再発型NSと特発性血小板減少性紫斑病(idiopathic thrombocytopenic purpura:ITP)を合併した児に対して,リツキシマブ(RTX)を投与したところ,NSが寛解した症例を報告した1)。RTXはCD20に対するモノクローナル抗体であり,B細胞機能を抑制する。このことから,NSはT細胞とB細胞の両系統と関連する可能性が示唆された。わが国では,Iijimaらが難治性NSに対してRTXの有効性を証明した2)。PSLの減量についてもわが国から新しい知見が得られている。YoshikawaらはNS治療時のPSL減量法について,国際法(2カ月での減量)が長期漸減法(6カ月での減量)と比べて治療成績に差がないことを証明した3)

NSはその原因がいまだに不明である。このような新しい治療などの知見が,病因,病態の解明につながるものと期待される。

【文献】

1) Benz K, et al:Pediatr Nephrol. 2004;19(7): 794-7.

2) Iijima K, et al:Lancet. 2014;384(9950):1273-81.

3) Yoshikawa N, et al:Kidney Int. 2015;87(1): 225-32.

【解説】

中野 優,齋藤伸治 名古屋市立大学新生児・小児医学教授

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