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日医・日本医学会が合同シンポ:HPVワクチン問題、脳機能障害の報告や勧奨再開求める声

No.4733 (2015年01月10日発行) P.11

登録日: 2016-09-08

最終更新日: 2017-03-14

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‌日本医師会と日本医学会は昨年12月、接種後の副反応問題で積極的な接種勧奨が中止になっているHPVワクチンを巡り、合同シンポジウムを開催した。当日の議論の概要を紹介する。

HPVワクチン接種後に四肢の疼痛などの副反応報告が相次いでいる問題で、厚労省は2013年6月に積極的な勧奨を中止。同省の有識者検討会は、報告された症状は機能性身体症状であるとの見解をまとめた。神経疾患や免疫反応の可能性も検討した上で、神経疾患は症状が変動する例が多いことなどから、免疫反応は発症時期の傾向から否定している。

それに対し、西岡久寿樹東京医大医学総合研究所長は、ワクチンに含まれるアジュバントが中枢神経や免疫システムに異常を引き起こした可能性が高いとして、一連の病態は「HPVワクチン関連神経免疫症候群(HANS)」であると提唱している。

シンポで西岡氏は、厚労省検討会が接種後1カ月以上の発症を因果関係が薄いとしていることを問題視し、「時間の経過とともに様々な症状が重層化する」と指摘。フロアからの「接種対象の年代はそもそもHANSの症状に当てはまることが多いが、HANSの背景発生率はどのくらいか」との質問には、「従来の疾患のカテゴリに入らない病態であり、過去の公害病と同様、現時点ではHANSの自然史は分からない」と回答した。

疼痛寛解後も記憶障害

複合性局所疼痛症候群(CRPS)の専門家である池田修一信州大医学部長も、疼痛が寛解した後も複数の症状が出現する問題を指摘した。池田氏は接種後の症状で受診した患者のうち、一部はCRPSやCRPSと起立性低血圧または起立性頻脈症候群との合併であると診断。痛みがとれた後も記憶障害や睡眠障害が生じたと報告し、自律神経障害やCRPSの後に高次脳機能障害が生じる新たな病態の可能性を示唆した。

一方、牛田享宏愛知医大学際的痛みセンター教授は、厚労省研究班が診察した204人の患者について、広範囲の疼痛が主な症状だったと報告。一般の中学生に対する調査でも約20%が半年以上続く痛みを感じているとして、患者の不安を軽減し、痛みに関する教育を行うことで症状が軽減されると述べた。登校など社会生活へのサポートの重要性も強調した。

宮本信也筑波大人間系長も学校復帰が子どもの回復力を高めると指摘。原因の解明を一時棚上げし、車椅子での登下校を提案するなど、まずは介入の余地が大きい生活障害を改善することを提言した。

「因果関係は証明困難」

シンポでは複数の登壇者から「ワクチン接種と症状の因果関係を証明することは困難」との指摘がなされた。今後、ワクチン接種の積極的勧奨をどうすべきか。日本産科婦人科学会理事長の小西郁生京大婦人科学・産科学教授は、世界保健機関が疫学調査を基にHPVワクチンの安全性を表明していることを紹介。副反応対策の整備と早期の勧奨再開を求めた。

厚労省が現在行っている副反応報告の追跡調査の実施期間は2月末までであることから、担当課は「調査結果を踏まえて有識者会議で再開の是非を判断するのはそれ以降になる」と説明しており、今後開かれる有識者会議での議論が注目される。

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