昨年6月、社会医学系の学会・団体で構成する「社会医学系専門医協議会」(表1)が公衆衛生、産業衛生などの領域で活躍する医師のキャリアパスを明確化し、研修プログラムを体系化するため、「社会医学系専門医」の創設を提言した。同協議会は今年3月にモデルプログラムを公表。秋にも専攻医の募集を始める。新専門医制度と同時(来年4月)の養成開始を目指し、着々と準備を進める。
協議会が示している社会医学系専門医の人材像と活躍領域は、産業医活動から地域における感染症対策や医師としての専門性を生かした政策提言までと幅広い(表2)。
このような社会医学系専門医の創設が提言された背景には、保健所長などの行政医、学会関係者などの間で、社会医学を志す若手医師が減少するとの危機感が募っていたという事情がある。一般国民、医学生・研修医にとって、産業医以外の社会医学領域の医師の活躍は見えにくい。しかも新専門医制度の基本領域には社会医学系はない。
社会医学系専門医は、研修医をはじめとする若手医師の進路の選択肢として社会医学系領域の存在をアピールするとともに、専門性を担保することで一般国民からの信頼の獲得を狙うものだ。
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