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三叉神経痛の診断と治療

No.4761 (2015年07月25日発行) P.61

長沼芳和 (長沼ペインクリニック院長)

登録日: 2015-07-25

最終更新日: 2021-01-05

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【Q】

76歳,女性。10年前より典型的なV2の三叉神経痛が出現。カルバマゼピン(テグレトール)内服と局所麻酔薬によるV2ブロック月2~3回で数年間,症状が改善。5年前よりV1の発作痛もみられ,3年前にV1,V2に眼窩上・下神経高周波熱凝固(各々90℃180秒)。
今回の受診時,V1の痛みはなく,V2に5/10の知覚低下がみられるものの,発作痛があり,テグレトールで改善しません。三叉神経痛として治療継続してよいでしょうか。長沼ペインクリニック・長沼芳和先生のご教示をお願いします。
【質問者】
比嘉正祐:三鷹痛みのクリニック院長

【A】

三叉神経痛の原因として脳血管や腫瘍が神経と接触するものが多いとされていますが,その診断はMRIやCTなどの検査機器で行えるわけではありません。三叉神経痛の診断は,あくまで発作の様式を観察すること(問診が主体)で行われます。
ご質問の症例は,高周波熱凝固で三叉神経末梢枝をブロックした後,知覚低下が十分得られているにもかかわらず痛みが出現したものですが,追加治療の適応は痛みの性質がneuralgicであるか否かで判断します。特に神経ブロック後は,ブロックに伴うdysesthesiaと神経痛再発の区別が大切になります。テグレトールは,三叉神経痛発症早期は著効を示すので診断の根拠にしてもよいと思いますが,しだいに効力を失う性質があります。したがって,痛みの発生状況を観察することで再治療を行うかどうかを判断します。neuralgicな痛みであれば神経ブロックを行い,良い結果が保証されると考えます。

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