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先天性胆道拡張症[私の治療]

No.5282 (2025年07月19日発行) P.51

渕本康史 (国際医療福祉大学医学部小児外科学教授)

登録日: 2025-07-17

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  • 先天性胆道拡張症は,総胆管を含む肝外胆管が限局性に拡張する先天性の形成異常である。この疾患は若年女性に多くみられ,欧米人に比べて東洋人に多く,わが国では約1000人に1人の割合で発生する。病型分類には戸谷分類が広く用いられており,総胆管が限局的に拡張するⅠa型およびⅠc型,肝内と肝外胆管が拡張するⅣa型が高頻度で認められる。これらの型のほぼ全例に膵・胆管合流異常を伴う。日本ではこの狭義の先天性胆道拡張症を一般的に指す。膵・胆管合流異常は,膵管と胆管が十二指腸壁外で合流するため,十二指腸乳頭括約筋の作用が及ばず,膵液と胆汁が相互に混入し,胆道および膵臓に様々な病態を引き起こす。特に,胆道癌の発症率が高いことが知られており,発がん母体となる胆道を適切に切除することが重要である。

    ▶診断のポイント

    先天性胆道拡張症の好発年齢は幼児期であり,主な症状は腹痛である。しかし,初発時に診断に至らないことも少なくない。乳幼児期では胆道穿孔による胆汁性腹膜炎で発症する例もある。診察では,黄疸の有無,上腹部痛・腫瘤,便色異常を確認することが重要である。血液検査では,胆汁うっ滞に伴うビリルビン,AST,ALT,ガンマGTP値などの肝機能検査値や,血清アミラーゼ,リパーゼ,エラスターゼⅠなどの膵酵素の上昇が認められることがある。画像検査では,超音波検査にて肝外および肝内胆管の拡張が確認できる。膵・胆管合流異常の同定は,確定診断において非常に重要であり,内視鏡的逆行性膵管胆道造影(ERCP)やMRIによる胆道描出法(MRCP)で確認する。

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