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【LGBTQの人々と医療】医療者が個人でできること─すべての患者に多様な性に配慮したコミュニケーションを[プライマリ・ケアの理論と実践(149)]

No.5125 (2022年07月16日発行) P.12

坂井雄貴 (一般社団法人にじいろドクターズ代表理事)

登録日: 2022-07-14

最終更新日: 2022-07-14

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SUMMARY
LGBTQの人々が医療において経験している障壁を理解した上で,医療者としての個人のバイアスを認識しながら,多様な性に配慮した問診やコミュニケーションを行うこと,カミングアウト,アウティングについて正確な理解と認識を行うことが重要である。

KEYWORD
カミングアウト,アウティング
カミングアウトは自身のセクシュアリティを他者に打ち明けること,アウティングは当事者のセクシュアリティを当人の許可なく伝えることを指す。

坂井雄貴(一般社団法人にじいろドクターズ代表理事)

PROFILE
群馬大学医学部卒業後,亀田ファミリークリニック館山家庭医診療科にて研修。家庭医療専門医・指導医。2021年4月に代表理事として一般社団法人にじいろドクターズを立ち上げる。長野県軽井沢町「ほっちのロッヂの診療所」院長。

POLICY・座右の銘
CARPE DIEM(その日を摘め)

1 ケアの現場での配慮1)2)

ケアの現場では医療者-患者関係の構築が重要であるが,LGBTQ(レズビアン,ゲイ,バイセクシュアル,トランスジェンダー,クエスチョニングまたはクイア)の人々においてはどのような課題があるだろうか。欧米の研究ではLGBのうち約1割,Tのうち約2割が医療の利用を拒否された経験がある,また医療従事者から暴言や心ない言葉をかけられたことがあるとされる。また日本のトランスジェンダーを対象とした調査でも,約5割が体調不良時に医療機関の受診をためらったことがあるとする報告がある。

このようにLGBTQであることが医療アクセスを妨げる要因となっていることがあり,医療従事者個人での対応において,多様な性に配慮することはきわめて重要である。セクシュアリティに関連する情報は,手術歴・内服歴・生活歴などに広く関連し,患者に適切なケアの提供を行うために重要となることも多い。

一方で,LGBTQの人々は本人がそう申告しない限り,当事者であるとわからないことも多い。そのため,すべての患者と関わる上で多様なセクシュアリティに配慮したコミュニケーションを心がけることが求められる(表1)。

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