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原発性肝癌(肝内胆管癌)[私の治療]

No.5093 (2021年12月04日発行) P.40

山下洋市 (熊本大学大学院生命科学研究部消化器外科学講座准教)

林 洋光 (熊本大学大学院生命科学研究部消化器外科学講座診療講師)

馬場秀夫 (熊本大学大学院生命科学研究部消化器外科学講座教授)

登録日: 2021-12-07

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  • 世界的にみると東アジアや東南アジアで罹患率が高い。「第22回全国原発性肝癌追跡調査報告(2012~2013)」では,原発性肝癌のうち肝内胆管癌は6.4%を占める。比較的稀な原発性肝癌だが,日本では年齢調整罹患率・死亡率ともに上昇しており,欧米諸国でも罹患率が増加傾向にある。

    ▶診断のポイント

    大腸癌など腺癌の肝転移と低分化肝細胞癌との鑑別が重要である。胃・大腸のスクリーニングなどが必須である。診断確定のための腫瘍生検は,needle tract seedingを回避するために安易に行わない。肝内胆管癌を疑った場合は,印刷業(1,2-ジクロロプロパンやジクロロメタンへの曝露)に従事したことがないかを確認する(労災認定あり)。

    ▶私の治療方針・処方の組み立て方

    「肝内胆管癌診療ガイドライン2021年版」1)に「肝内胆管癌治療のアルゴリズム」が掲載されているので参照されたい。筆者らは,腫瘍条件に応じてもう少し細かく治療方針を決定している。遠隔転移などがある切除不能例に対しては化学療法を行う。切除可能例に対しては,悪性度の高い「傍肝門型」と悪性度が比較的低い「末梢型」とにわけて2)術式を決定している。リンパ節転移陽性例に対する切除後予後はきわめて不良なため,術前リンパ節転移の評価が重要である。リンパ節転移の画像診断の正診率は低いが,FDG-PETの陽性的中率は高いため,FDG-PETで評価している。

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