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悩ましの混浴露天風呂[なかのとおるのええ加減でいきまっせ!(378)]

No.5089 (2021年11月06日発行) P.61

仲野 徹 (大阪大学病理学教授)

登録日: 2021-11-03

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東北での紅葉見物旅行の途中、日帰り入浴の露天風呂に立ち寄った。混浴である。念のために言っておくが、混浴だからそこに行ったわけではない。入りたいと思う露天風呂が混浴だったという順序関係だ。

さして大きくない男女別の内風呂と、6つだかの露天風呂があって、そのほとんどが混浴になっている。青空と紅葉が素晴らしい露天風呂は信じられないくらい開放的だった。ざっと眺めたところ、入浴者は30人くらいだろうか。湯浴み着入浴が可能とはいえ、女性客は3~4人だけで、みなさんカップルでの入浴といったところだった。

硫黄の香りあふれるお湯は真っ白なので、お風呂に浸かってしまえば何も見えない。しかし、である。かといって、女性がおられるところに堂々と入っていくのもはばかられるので、こそこそとお湯にはいった。礼儀正しきおじさん入浴者である。

ええ気持ちになっていたところに、湯浴み着なしで、ちょっと大きめのタオルだけで体を隠したつもりの女性(推定30歳くらい)、が登場された。だから混浴はうれしい、と思えたらいいのだが、こういう時はほぼ反射的に目をそらしてしまいますな。

勇気あるよなぁ、という気がしないでもないが、お昼間の露天風呂である。なにもいやらしいところはない。混浴だからといって、変にかまえるほうがおかしい。と思いながらも、こそこそとお湯にはいったり、目をそらしたりするのは悲しき性ですな。

もう20年ほど前になるけれど、これも東北でおもろいというか何というかの経験をしたことがある。いくつかの露天風呂がある温泉で、どれもが混浴だった。そのうちのひとつに入ろうと思ったら先客がおられた。

中年のご婦人がひとり入浴中で、ご夫君とおぼしき方が着衣で写真を撮っておられた。小さなお風呂で、撮影の邪魔になりそうなので、どうぞ続けてください、と立ち去ろうとした。ところが、である。意外にも、いやぁ遠慮せずにとおっしゃる。

白く濁ったお湯だし、おそらくご夫婦だ。固辞するのもいかがなものかと思い、対角線くらいの位置に遠慮気味に入った。そしたら、せっかくですからツーショットで、と勧められた。ええ~っ、と思ったが、断るのもなんだし、ピースサインで撮影に応じた。いまだに、あの写真がどこかに流出しないか心配してるんですけど。

なかののつぶやき
「ドイツにも温泉があって、バーデンバーデンなどが有名です。在独中に何度も行きましたが、入浴といっても水着を着用して入るので、日本人にとっては温水プールみたいな感じでした。ところが、不思議なことに、同じ施設にあるサウナはなぜか全裸で混浴(というのか)なのであります。こういうのは文化の違いなんでしょうねぇ。どうにも解釈するのが難しいですけれど」

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