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【識者の眼】「GMP適合性調査─医薬品の品質を支える縁の下の力持ち」藤原康弘

No.5084 (2021年10月02日発行) P.64

藤原康弘 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)理事長)

登録日: 2021-09-27

最終更新日: 2021-09-27

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GMP(Good Manufacturing Practice)とは何か? 医師には聞きなじみのない言葉だろう。GMPとは、承認されたとおりの適正な品質の医薬品が恒常的に製造できる仕組みに必要な規制要求事項である。日本では、医薬品及び医薬部外品の製造管理及び品質管理の基準に関する省令(以下、GMP省令)が根拠である。工業製品のISO 9000のような品質システムと考え方は共通点が多い。WHOが1970年代に提唱してから世界各国の規制当局が規制に取り入れ、医薬品製造の国際スタンダードになっている。昨今話題に上るジェネリック医薬品の出荷停止や回収などは、製造所への行政のGMP適合性調査の立入で不備が発見された事例である。これが頻発し、最近は供給不安が生じる事態となっている。

GMPの適合性調査権限は、日本では、新薬、ワクチンなどのバイオ医薬品や海外の製造所に対してはPMDAが有し、それ以外のジェネリック・OTC・医薬部外品の国内製造所に対しては都道府県庁が有しているため、海外製造所の立入には、PMDAが行かねばならない。新薬の欧米の工場はよいが、ジェネリック医薬品の原薬はインド・中国に依存している割合も高く、調査員はインドの山奥までも足を運ぶ。衛生状態が国内とは異なり、想像以上にきつい仕事である。通常2名のPMDA調査員が製造所へ赴き、承認審査と並行して行う調査と、承認後概ね5年ごとに行う調査がある。1施設あたり3〜5日間で、国内外の約1800施設/年に対して調査を実施している。製品の新規性などの特徴や過去の調査実績などを考慮して書面調査で行うものも少なくないが、コロナ以前は出張の連続であった。

さて、GMPには、PIC/S(Pharmaceutical Inspection Convention and Pharmaceutical Inspection Co-operation Scheme:医薬品査察協定・医薬品査察協同スキーム)による国際的な査察協力の枠組みがあり、日本も国際的なGMPガイドラインと整合した規制を実施する。PIC/Sには、欧米等50カ国(54規制当局)が加盟(日本は2014年加盟)しており、査察情報の交換、ガイドラインの調和、調査員のトレーニング等を行い、国際的に同じ目線でGMPの適合性の確認を行う。PMDAもGMP調査のレベルアップを図ってきた。昨今のジェネリックの問題を見ると、日本の製造所にはまだ改善の余地がありそうだ。また、調査権限が都道府県庁に分権され、製造所が少ない県では調査技能が蓄積しない課題もある。

そのような背景もあり、PMDAは、都道府県との合同の無通告査察の実施等を通じ、都道府県のGMP調査員の資質向上も図りつつ、ジェネリック医薬品等の信頼回復に寄与したい。

藤原康弘(独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)理事長)[薬事]

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