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男性不妊の初期診察

No.5079 (2021年08月28日発行) P.47

森田伸也 (慶應義塾大学泌尿器科)

登録日: 2021-08-27

最終更新日: 2021-08-25

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 【評価票を用いた問診,触診を含めた診察,血液・精液検査によって診断】

現在,晩婚化が進み,不妊治療の需要が増している。不妊症の原因の約半数は男性側にあり,男性不妊の原因は,造精機能障害82.4%,性機能障害13.5%,閉塞性精路障害3.9%である1)。男性不妊の初期診察の流れを知ることは,専門外来に紹介する医師としても有用である。

専門外来を受診すると,まず,詳細な問診を行う。性欲・勃起・射精といった機能をIIEF5,AMS,ADAMといった質問票を用いて評価する。糖尿病,成人期の流行性耳下腺炎性精巣炎の既往歴や,骨盤,鼠径ヘルニア,停留精巣などの手術歴,また男性型脱毛症薬内服などの薬歴は重要である。

続いて,診察を行う。体を観察し,テストステロン分泌による男性化が正常かを診る。外陰部(陰毛の程度,陰茎・陰囊の発育)を観察し,Tanner gradeを評価する。陰囊内容を触診し,オーキドメーターで精巣容積を測定し,精巣上体,精管を触診する。精索を触り,腹圧をかけてもらいながら,臥位と立位で精索静脈瘤の有無を確認する。

診察後に採血(末梢血,生化学,LH,FSH,PRL,総テストステロン),精液検査を行う。精液検査は2日以上7日以内の禁欲期間を設け,少なくとも2回検査を行う。

以上の結果を総合的に判断し,男性不妊の原因を診断していく2)3)

【文献】

1)湯村 寧, 他:厚生労働省子ども・子育て支援推進調査研究事業 我が国における男性不妊に対する検査・治療に関する調査研究. 2016, p35-7.

2)大橋正和, 他:臨婦産. 2018;72(11):1046-52.

3)岩本晃明, 他, 編:男性不妊症の臨床. メジカルビュー社, 2007, p33-112.

【解説】

森田伸也 慶應義塾大学泌尿器科

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