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コロナの医療崩壊は保健所崩壊─医師同士で入院交渉できるよう制度改正を[長尾和宏の町医者で行こう!!(122)]

No.5069 (2021年06月19日発行) P.58

長尾和宏 (長尾クリニック院長)

登録日: 2021-06-10

最終更新日: 2021-06-10

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保健所崩壊

新型コロナ第3波と第4波において、大阪・兵庫は医療崩壊した。コロナと診断されても自宅待機を余儀なくされた人は、4月下旬には大阪府で1万7600人、兵庫県は4700人を超えた。ちなみに筆者の診療所は大阪市と神戸市の間にある。年中無休で診療しているので大型連休中も発熱外来に連日最大40人の患者が受診され、陽性率が100%という日もあった。感染者全員がすぐには入院できないので、僕の携帯電話を教えて24時間管理した。オンライン診療とドライブスルー診療と往診を組みあわせてフォローし、容態が悪化した人は保健所に「至急、入院を!」と書いてFAXした。他院で陽性と診断されて自宅療養している方からもSOSが相次いだ。往診して酸素飽和度が93%以下の中等度Ⅱ以上の方には、在宅酸素とステロイド(デキサメタゾン6mg×10日分)とイベルメクチンの3点セットを配って歩いた。たとえ診断時に中等度Ⅰであっても発症7〜10日目に急変する人がいるので、ステロイドとイベルメクチンは置き薬として手持ちにして頂いた。

尼崎市では1月に全国に先駆けて保健所と医師会が連携して自宅待機者への往診システムが稼働している。感染症病床の10倍以上の患者さんが新規発生すれば大半の人が入院できないのは当然で、熱心な理事の在宅医が中心となっている。そもそもパンデミックに多少病床数を増やしたところで焼け石に水であろう。一番困った事例は、酸素飽和度が60%と高度の急性呼吸不全の初診患者さんを、受け入れるべき医療機関にも搬送すべき救急車にも断わられたことだ。入院の采配をするはずの保健所は何回電話しても通じず、FAXしても反応がない。そう、コロナの医療崩壊とは保健所崩壊、なのだ。

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