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コンパートメント(区画)症候群[私の治療]

No.5062 (2021年05月01日発行) P.68

織田 順 (東京医科大学救急・災害医学分野主任教授)

登録日: 2021-05-02

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  • 骨・筋膜・骨間膜に囲まれた隔室の内圧が,骨折や血腫形成,浮腫,血行障害などで上昇して,局所の筋・神経組織の循環障害を呈する病態のことである。したがって,阻血,神経障害を防止,あるいは増悪させないことが鍵となる。再灌流障害から局所的には類似するようにみえるクラッシュ(圧挫)症候群をきたしていないか注意する。クラッシュ症候群は治療が遅れると致死的となる。

    ▶病歴聴取のポイント

    まずは受傷機転を確認する。骨折,脱臼などの外傷で起こることが最も多いが,ほかに主要血管の損傷により急激な腫脹をきたす,重症熱傷のため皮膚コンプライアンスが失われかつ浮腫により腫脹する,電撃傷により筋損傷と浮腫をきたす,蛇咬傷により急激な腫脹をきたす,などに引き続いてコンパートメント症候群に至ることがある。さらに医原性のものとして,ギプス固定後に腫脹をきたしたものや包帯による過度の圧迫などもあるため注意する。ランニングやジャンプなどの激しい運動によっても起こりうる。特に前腕に起こるものはVolkmann拘縮としてよく知られる。

    ▶バイタルサイン・身体診察のポイント

    当該肢の受傷そのもの,あるいは強い疼痛,強い圧痛があればコンパートメント症候群を疑う。古典的には急激に発症する以下のP症状,疼痛(pain),知覚異常(paresthesia),麻痺(paralysis),腫脹(puffiness),脈拍喪失(pulseless),蒼白(paleness)が特徴的とされるが,コンパートメント圧が上昇している場合でもこれらの症状はすべてはそろわないか,あるいはそろう場合には病態が相当進行していると考える。患肢の麻痺がある場合は神経損傷,脈拍喪失がある場合は血管損傷を早期に鑑別する必要がある。

    コンパートメント症候群は上腕前腕,大腿下腿のみならず,手部,足部にも生じる。コンパートメント症候群が疑われる場合,注射針をコンパートメント内に刺入して動脈圧モニターに接続するなどして直接的に圧を測定するneedle-manometer法が簡便であり,診断の決め手となる。

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