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成人食物アレルギーの特徴と診断方法は?

No.5047 (2021年01月16日発行) P.51

岡本 師 (東京医科歯科大学呼吸器内科准教授)

福冨友馬 (国立病院機構相模原病院臨床研究センター 診断・治療薬開発研究室長)

登録日: 2021-01-15

最終更新日: 2021-01-12

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  • 最近,食物アレルギーを主訴に外来を受診し,アレルギー検査を希望する成人の患者が増えてきました。成人の食物アレルギーの特徴や診断方法について教えて下さい。
    国立病院機構相模原病院臨床研究センター・福冨友馬先生にご回答をお願いします。

    【質問者】

    岡本 師 東京医科歯科大学呼吸器内科准教授


    【回答】

    【病歴聴取に加え,血液検査と皮膚テストを組み合わせてIgE反応を確認する】

    食物アレルギーといえば,小児,特に乳幼児期に発症する鶏卵,牛乳,小麦などのアレルギーを思い浮かべることが多いと思いますが,成人になって新たに発症する食物アレルギーも決してめずらしくありません。ただし,小児と成人では,その原因食物,特徴が異なっています。成人の原因食物は,果物・野菜(リンゴ,サクランボ,大豆,メロンなど),小麦,甲殻類,スパイス,ナッツ類,アニサキス(魚の寄生虫)などの頻度が高いです。果物・野菜アレルギーは果物・野菜の経口摂取によって感作をきたしているわけではなく,発症の原因が花粉アレルギーであることも明らかになっています。すなわち,花粉症患者の一部が果物・野菜の中の花粉類似アレルゲンにも交差反応を示すようになり,食物アレルギーを発症します。

    原因食物の種類だけでなくアレルギー症状の起こり方も,小児と成人では少し異なっています。成人では,食物依存性運動誘発アナフィラキシー(food-dependent exercise-induced anaphylaxis:FDEIA)や口腔アレルギー症候群(oral allergy syndrome:OAS)と言われるような症状を呈する患者が多いです。FDEIAとは,原因食物を摂取しただけでは症状は起こらず,原因食物を摂取した後,運動したときに症状が起こる病態です。OASとは,口腔や咽頭の粘膜に限局したアレルギー症状が起こる場合を言います。

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