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病院が変わる[炉辺閑話]

No.5045 (2021年01月02日発行) P.13

武久洋三 (日本慢性期医療協会会長 )

登録日: 2021-01-01

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最近、病院がどんどん変わってきている。病床機能としては、2014年の病床機能報告制度創設時に「高度急性期」「急性期」「回復期」「慢性期」の4つに分類され、それぞれの医療機能について「急性期の患者に対し、状態の早期安定化に向けて、診療密度が特に高い医療を提供する機能」「急性期の患者に対し、状態の早期安定化に向けて、医療を提供する機能」「急性期を経過した患者への在宅復帰に向けた医療やリハビリテーションを提供する機能」「長期にわたり療養が必要な患者を入院させる機能」と示されているが、既にこの分類は実態として変化している。

回復期リハビリテーション病棟は2020年度改定において、入院条件から発症後2カ月以内の制限が廃止され、原則的に発症の時期に関係なく入院可能となり、病床機能の「回復期」というネーミングが実態として合わなくなってきている。また、地域包括ケア病棟に求められる在宅機能などの実績部分も強化されている。

「高度急性期」と「急性期」は、2018年に7対1、10対1一般病床を7つの急性期一般入院基本料と、13対1、15対1一般病床を3つの地域一般入院基本料にわけられている。これは急性期一般入院基本料算定病床のみを「急性期」とみなす、との通達とも言える。自院を急性期だと主張してやまない病院も、全病床を7対1の急性期一般病床で運営できている病院は少なく、特に地域の中小病院は、急性期多機能病院がほとんどである。

結局、現在の病床機能は、実質としては「高度急性期」が「急性期」となり、「急性期」と「回復期」が包括され、「地域急性期」と「地域包括ケア病棟」の機能を併合し「地域包括期」的となり、「慢性期」は「慢性期治療病棟」しか認められていないと言える。特に「回復期」という病床機能を選択している病床が少ないのは、この名称が実態に合っていないということだろう。厚生労働省が宣言した病床機能は、たった6年で様変わりしているのだ。今後この傾向はさらに明確になるだろう。

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