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いとけない絵[プラタナス]

No.5030 (2020年09月19日発行) P.3

木原亜古 (きはら内科あこ小児科)

登録日: 2020-09-19

最終更新日: 2020-09-16

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  • 小児科医になってはや30年、振り返ると多くのことを小さな患者さんから学ばせてもらった。研修医時代には、業務もさることながら精神面でかなりショックな体験をした。

    NICU勤務の時は、産婦人科医との意見の食い違いや死亡症例の解剖所見の見解の相違などは日常茶飯事、周囲の雑音に翻弄されて救命できなかった後悔の念に加え、幼い命にしっかりと向き合えなかった自分を情けなく思ったことが多かった。そもそも、あまり臨床に興味がなく、がん治療の研究が目的で、2年の研修の後には大学院に入り米国に留学した。しかしながら、それが臨床への道に進むことを決心する、皮肉にも1つのきっかけとなってしまった。

    米国の研究環境は非常に恵まれていて、設備も研究費も人材も豊富で、自分の好きなように研究ができたのだが、納得のいかない研究結果を踏み台にして次のステージに進もうとする同僚たちの姿勢に疑問を感じ、真実を追究していくには個人はあまりにも無力であることを思い知らされたのである。研究職を辞して臨床に戻ると、今度は勤務医という立場での患者さんに対する宙ぶらりんな姿勢に嫌気がさす。その後、いつでも患者さんに対応できる開業医をめざすまでさして時間もかからなかった。そして黙々と20年余り続け、今に至るわけである。

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