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【識者の眼】「自動識別はどこまで進むのか? 度肝を抜かれた研究報告」矢吹 拓

No.5014 (2020年05月30日発行) P.68

矢吹 拓 (国立病院機構栃木医療センター内科医長)

登録日: 2020-05-14

最終更新日: 2020-05-14

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2015年にApple社はApple Watchの販売を開始した。もちろん数あるApple製品と同様に多機能で素晴らしい最新腕時計であり、多くの人を虜にしている。私の場合、腕時計を無くしやすいという個人特性とこの時計の高価さから現時点では購入の断念を余儀なくされている。

さて、このApple Watchの特筆すべきポイントはウェアラブルデバイスであるということだ。実際に装着することで利用者の状態を記録することが可能になり、様々な行動記録や健康管理に一役買う形になっている。最近のApple社のCMでも「Apple Watchに命を救われた、このままいけば心臓発作を起こしていた」と語る若者が登場している。

そんな中2019年にJAMA cardiology誌に投稿された香港からの研究には度肝を抜かれた。ウェアラブルデバイスは接触によって健康管理をしているが、この研究は、撮影されたビデオ上での顔認識によって心房細動を非常に精度高く診断したと報告しているのである。しかも複数人同時に。我々世代のイメージでは、これはまさにドラゴンボールで相手の戦闘力を測るスカウターである。相手に触れることなく、ビデオ撮影するだけで一部ではあるが健康状態が測れる時代が到来している。メカニズムは顔面のプレスチモグラフィを分析することで心拍の不整を関知するものらしく、感度94%、特異度98%という非常に高い精度を誇っている。

一方、動画を撮影されただけでどこまで情報が分かってしまうのだろう…?という懸念も頭をもたげてくる。現実的にはあり得ないと思っていたドラゴンボールの世界がにわかに少しずつ現実味を増しているのかもしれない。技術の革新は止められない。大事なのは利用する側である。

【文献】

Yan BP,et al:JAMA Cardiol.2019.

  https://jamanetwork.com/journals/jamacardiology/article-abstract/2756246

矢吹 拓(国立病院機構栃木医療センター内科医長)[イノベーション

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