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筋萎縮性側索硬化症(ALS)の早期診断のポイントは?

No.4931 (2018年10月27日発行) P.56

漆谷 真 (滋賀医科大学内科学講座脳神経内科教授)

幸原伸夫 (神戸市立医療センター中央市民病院 脳神経内科部長/副院長)

登録日: 2018-10-30

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  • 筋萎縮性側索硬化症(amyotrophic lateral sclerosis:ALS)の診断は改訂El Escorial診断基準やUpdated Awaji基準を用いて行われますが,臨床上ALSが強く疑われながら,上位あるいは下位運動ニューロン症状が明らかでなく,診断基準を満たさない症例に遭遇します。
    ALSの早期診断は,難病申請や治療介入,治験登録など患者の診療の質向上に重要です。ALS診断のポイントについて,神戸市立医療センター中央市民病院・幸原伸夫先生にお伺いします。

    【質問者】

    漆谷 真 滋賀医科大学内科学講座脳神経内科教授


    【回答】

    【筋電図とエコーによる線維束性収縮電位の所見が感度を高める】

    一昔前には夢であったALSの根本治療も現実味を帯びてきました。進行を止める,あるいは緩徐にできる薬が手に入ったとき,最も必要なのは早期診断です。しばしば遭遇する早期診断困難例は,進行性の球症状があるが診察時点では四肢はまったく正常という場合や,手の筋萎縮は少しあるが下肢は問題なく反射は正常,といった症例です。上位運動ニューロン障害は,腱反射の亢進などの臨床所見が唯一の確実な判定手段ですが,下位運動ニューロンについては,筋電図がきわめて有用な診断ツールになります。ALSでは,筋萎縮や脱力が明らかになるかなり前から運動ニューロンの変性は始まっており,筋電図では変性初期の変化をとらえることができるからです。

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