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青魚アレルギーは本当に多いのか

No.4930 (2018年10月20日発行) P.53

中村陽一 (横浜市立みなと赤十字病院アレルギーセンターセンター長)

登録日: 2018-10-18

最終更新日: 2018-10-16

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【忘れてはいけないアニサキスアレルギー】

成人の食物アレルギーといえば,原因は何を思いつくであろうか。小麦・ソバ・ナッツ類・甲殻類・魚類などがよく知られるが,あえて付け加えるなら,口腔アレルギー症候群で知られる果物アレルギーも少なくない。

今回注目したいのは,魚類によるアレルギーである。魚介類を食べることが多い日本人にとっては,甲殻類と同様,サバ・サンマなどの青魚を食べることによりアレルギーが起こりやすいと信じられている。決して間違いではないが,正確には「青魚によるアレルギー」の多くは「魚類に寄生しているアニサキスに対するアレルギー」である。

筆者らの施設で,魚類の摂取によるアレルギー症状で来院した症例のうち,実際に魚類アレルギーであったのはわずか15%であり,大半の症例では疑われる魚類の特異的IgE抗体が検出できず,アニサキスに対する抗体が強陽性(クラス4~6)を示したのである1)。これらはすべてプリックテストでも,魚類そのものに対する陽性反応はみられなかった。

魚の生食が多い日本人は,多くの健常者でもアニサキス特異IgE抗体が陽性(~3程度)を示すのも事実であるが,魚の摂取によるアレルギーを疑う場合,その魚への感作を特異IgE抗体とプリックテストの両者で証明できない場合は,「アニサキスアレルギー」を疑わねばならない。魚類アレルギーを診る際に,多項目の特異IgE抗体キットだけで済ます過ちだけは避けたいものである。

【文献】

1) 伊藤浩明, 編:食物アレルギーのすべて. 診断と治療社, 2016, p239.

【解説】

中村陽一 横浜市立みなと赤十字病院アレルギーセンターセンター長

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