流産とは,妊娠22週未満で妊娠が終了することである。妊娠12週未満の流産を早期流産,12週以降22週未満のものを後期流産と分類する。流産には自然に起こる自然流産と,人工的に行われる人工流産がある1)。自然流産の最も多い原因は胚の染色体異常であり,特に早期流産ではその頻度が高く,全体の半数以上を占める。その他,胎児構造異常,胎盤・臍帯異常,多胎妊娠,子宮奇形,子宮筋腫・子宮腺筋症,内分泌疾患,自己免疫性疾患,外傷,薬物,放射線被曝,精子異常なども関与する2)。後期流産では,子宮内感染や頸管無力症が主な原因である。
不育症とは,生殖年齢の男女が妊娠を希望し,妊娠は成立するが流産や死産を繰り返し,生児が得られない状態を指す2)。主な原因には抗リン脂質抗体症候群,子宮奇形,夫婦染色体構造異常,胎児(胎芽)染色体異常がある。
▶診断のポイント
正常妊娠では妊娠4週頃より尿中hCGが検出され,経腟超音波検査により妊娠4週中期以降に子宮内胎囊が確認される。妊娠5〜6週には胎芽の心拍が確認されるため,最終月経,排卵日,胚移植日などから妊娠週数を正確に把握することが重要である。妊娠5週以降で胎児心拍が確認できない場合,妊娠週数の誤差を考慮し,1回の超音波検査で診断を確定せず,経時的に複数回評価する。適切な時期に胎囊が子宮内に確認できない場合は,異所性妊娠,生化学的妊娠,胞状奇胎などとの鑑別が必要である。一度確認された胎児心拍が消失した場合は,稽留流産と診断する。
早期流産の超音波所見としては以下が重要である。①頭臀長7mm未満で心拍が認められない,②胎囊平均径16〜24mmで胎芽が確認できない,③心拍を伴った胎芽が出現しない,④卵黄囊が拡大している(>7mm),⑤最終月経から6週以上経過しても胎芽が確認できない3)。自然流産を1回以上経験し手術を行った症例では,絨毛染色体(POC)検査の保険適用が可能である。
2回以上の流産や死産がある場合は,不育症と診断される。生産歴の有無は問わず,流産・死産が連続していなくても対象となるが,生化学的妊娠は含まれない。該当する場合は不育症スクリーニング検査を実施する。
