Review 自著紹介・書評
がんばれ!猫山先生(1)
自著紹介
 「日本医事新報」への4コマ漫画連載のお話がきたのは、ボクが勤務医として煮詰まっていた頃でした。「日本医事新報」といえばお堅い老舗の医療情報誌、そんな雑誌にボクのおちゃらけた漫画など載せていいのかと、若干のうしろめたさも感じながら、ユルユル連載を始めて2年半、「そんなおもろない漫画読みとうないわい!」というお叱りの言葉もなく(いや、あったかも?)、今回めでたく単行本化に至りました。
 「猫山先生」は、「平凡な医者のそれなりの成長ドラマ」というコンセプトで連載を開始しました。「成長」とは「変化」がポジティブである時に使う表現です。しかし日本の医療をとりまく環境はその反対。医療崩壊に対する処方箋はさっぱりみあたりません。そんなわけでボクは医療の将来にはあまり期待していないのですが、猫山先生には少しだけ期待しています。…是非みなさんも生温か〜い目で見守ってやっていて下さい。そして、興味のある方はご一読を。

茨木 保/いばらきレディースクリニック院長

著者に聞く:茨木 保氏にインタビュー!


Q:思わず頷いてしまうお話ばかりですが、ネタはどうやって仕入れているのでしょうか?

 ほとんど日常生活から取っています。外来をしながらふと思いついたことをネタ帳に書き留めて─という感じで。『猫山先生』に描いている話の8割は実話です(笑)。
 例えば奈良野シカオ先生は、開業医としてボロボロになっていくという、ある意味私の別の姿。主人公は猫山先生ですが、なんだか奈良野先生の方にどんどん感情が入ってきてしまいますね。


Q:執筆の時間はどうやって確保しているのですか?
 診療がある日中は描けないので、夜と休日に描いています。両立はしんどいですが、それでも描いてしまうのは、もう呪縛なんでしょうね。これが私の生き様ですから。
 本音を言えば、休日はもっと子どもと遊びたいんですが、なかなか難しい。だから最近は子どもが私の仕事部屋に来て、隣で漫画を描いたりしています。そのせいか、6歳になる娘のごっこ遊びの中には、原稿を取りに来る「編集者」が登場するんですよ。「編集さんが来るからこの漫画は○時までに仕上げなきゃならない」なんて、末恐ろしいというか、悪い影響を与えているなと思います(笑)。

Q:漫画を描き始めたきっかけは何ですか?
 漫画は幼稚園の頃から描いているんですが、小学4年生の時に読んだ手塚治虫の『火の鳥・未来編』が私の人生を変えましたね。「漫画は一生を懸けてやる価値がある仕事だ」と感じました。
 手塚さんは漫画の神様、それも「祟り神」だと思ってます。乗り移られて、引っ張られた人たちが今の日本の漫画文化を作っている。私も「才能がない」と思いながらずっと漫画を描き続けている人間ですから、未だにその呪縛が解けないんでしょうね(笑)。

Q:猫山先生は今後どうなっていくのでしょうか?
 開業医のボロボロな部分は奈良野先生に引き受けてもらって、猫山先生にはこれからも「トホホ」なくらいの人生を歩んでもらおうと思っています。
 とはいえ、「猫山先生」のキャラクターたちは、すでに自分たちで勝手にどんどん動き始めているので、正直どうなるかは分かりません。作者である私自身がキャラクターに期待するのも変な話ですが、幸せになれるかどうかは彼ら自身が決めてくれるはず。


読者へ一言
 これからもいろいろと騙されたり、トントン拍子には開業できないと思いますが、そんな猫山先生の成長を皆さんも一緒に見守ってやってください。