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【コラム】 婦人科手術での後腹膜縫合[特集:今、話題になっていること─婦人科編]

No.4906 (2018年05月05日発行) P.41

田畑 務 (三重大学医学部産科婦人科学教室准教授)

登録日: 2018-05-04

最終更新日: 2018-04-27

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1 過去の後腹膜縫合

腹腔内臓器は腹膜で裏打ちされているため,手術や炎症などの既往がない限りほとんど癒着しない。子宮は表面を腹膜で覆われた後腹膜臓器であり,子宮を摘出するためには腹膜を切離しなければならない。また,婦人科悪性腫瘍手術では,傍大動脈リンパ節郭清を行うことも多く,切開創は上腹部に及ぶ。手術により腹膜が欠損すればその部位の癒着は必至であり,ひいては腸閉塞に至る可能性も考えられる1)2)

これまで,腹膜欠損部は残存している腹膜を引き寄せ縫合することにより癒着防止を試みてきた。その後,子宮摘出術時には,後腹膜縫合をしてもしなくても術後に発症する腸閉塞などの頻度は変わらないとの報告があり,徐々に子宮摘出後も腹膜の縫合はされなくなってきた。また,腹膜縫合をした場合には,縫合糸に小腸などの周辺臓器が癒着しやすいことが報告されている。

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