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最近の摂食障害の薬物療法【有効な薬剤と有害な薬剤】

No.4905 (2018年04月28日発行) P.51

山本ゆりえ (国立国際医療研究センター国府台病院薬剤部)

河合啓介 (国立国際医療研究センター国府台病院心療内科診療科長)

登録日: 2018-04-26

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摂食障害に対する保険適用薬はわが国にはない。NICE1)等の各ガイドラインにおいて,薬物療法は精神療法や栄養療法に対する補助的な位置づけとされている。世界生物学的精神医学会による「摂食障害の薬物療法ガイドライン」2)において,神経性やせ症に対してオランザピンがグレードB,神経性過食症(bulimia nervosa:BN)に対して抗うつ薬の一種であるfluoxetineがグレードAで推奨されているが,いずれも長期的なフォローはされていない。オランザピンは,過食衝動や過食後の不穏に対して使用されることが多いが,摂食障害への保険適用を持たない。また,食欲亢進や体重増加などの副作用に患者は抵抗を示すこともある。fluoxetineはわが国で使用できず,同効薬であるフルボキサミンのBNへの治療報告があるが,エビデンスに基づく有効性の証明はない。

摂食障害における薬剤の有害な問題として,患者の薬物乱用が挙げられる。刺激性下剤を一度に数十〜数百錠も乱用する患者がおり,有害事象として電解質異常や偽性Bartter症候群,大腸メラノーシスなどの恐れがある。やせ薬として利尿薬,甲状腺ホルモン,覚せい剤を含む薬物等をインターネットで購入することも可能な時代であり,薬物乱用予防の啓発活動は急務である。

【文献】

1) National Institute for Health and Care Excel-lence(NICE)ガイドライン. [https://www.nice.org.uk/guidance/cg32]

2) Aigner M, et al:World J Biol Psychiatry. 2011;12 (6):400-43.

【解説】

山本ゆりえ*1,河合啓介*2  *1国立国際医療研究センター国府台病院薬剤部  *2国立国際医療研究センター国府台病院心療内科診療科長

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