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「医療は社会的共通資本」、国民全体で理念共有を─日医・医師会将来ビジョン委

No.4905 (2018年04月28日発行) P.13

登録日: 2018-04-19

最終更新日: 2018-04-19

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日本医師会は18日の定例会見で、会内の「第三次医師会将来ビジョン委員会」(委員長=佐原博之 石川県医師会理事)の答申を公表した。「医療の今日的課題に対して医師会員は何をすべきか」との会長諮問に対し、「医療は社会的共通資本である」という理念を国民全体で共有すべきとの考えを示している。

同委員会には、社会的共通資本の概念を提唱した経済学者の故・宇沢弘文氏の長女、占部まり氏(亀田病院)も委員として参画している。そのため答申では、「医療の本質は、サービスではなく信任である」といった、医療への市場原理導入に批判的だった宇沢氏の言葉や考えが随所で引用されている。

国民皆保険の課題の1つとしては、医療従事者の技術料の評価の低さを指摘し、経営的最適性を優先した医療提供が行われないよう、「医療を経済に合わせるのではなく、経済を医療に合わせる必要がある」としている。また、医師は労働者であると同時に社会的共通資本としての医療の構成要素であり、「適切に配置される仕組みが必要」とする一方で、法規制による強制配置には「決して導入すべきではない」と反対している。

こうした理念の共有を進めるに当たっては、全国約900の郡市区医師会長が1年に1度東京に集まる協議会の創設を提言。郡市区医師会の次世代を担う若手役員の育成を目的とした委員会の設置も提案した。これを受け、横倉義武会長は会見で「6月の役員選で再任された場合は積極的に進めたい」と前向きな姿勢を示した。

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